同じ意味の言葉「重ね言葉」は使わない
同じ意味を重ねてしまう「重ね言葉」を思わず使った経験はあるのではないでしょうか?
例えば、「一番最初」も重ね言葉です。
意味を考えると、「最初」は、最も初めての意味なので、「一番」の意味と重複します。
「重ね言葉」は知らず識らずに話し言葉として利用されていることも多いので、思わず自分も使ってしまうことってありますが、正しい文章を身につけたいですね。
あー、耳が痛い。それはOKですね(笑)
受講生から指摘された課題
受講生から模範解答への指摘がありました。
【問題】以下の文章を添削してください。
風評被害により、団体旅行のキャンセルが相次ぐという被害をこうむった。
【解答例】
風評被害により、団体旅行のキャンセルが相次ぐという被害を受けた(害を被った)。
解説文では、以下の通り解説していました。
「被害をこうむる」は「被害を被る」と書くとわかりますが、重ね言葉です。
しかし、受講生からは
「被害を受けた」は、新聞等のマスメディア的にはダメだけど、一般的にはぎりぎりセーフ(一般の言葉として使える)と考えていいのでしょうか?
と質問されました。
良い質問ですね!
被害を受けた。と「を」になっていることで、目的語として使っているので大丈夫です。
「毎日ことば」というブログでも以下のように解説されています。詳しく記載されているので、気になった方は読んでください。
「被害を被る」は「『~ヲ』に〈動作・作用の結果に生じたもの〉がくる、結果目的語の適切な用法であるもの」に当たります。
「被害を被る」は不適切か
しかし、受講生のように、「?」となり、ややこしいですね。その場合は、できるだけ明らかに違う言葉で表現しましょう。
風評被害により、団体旅行のキャンセルが相次ぐという被害にあった。
ご飯を炊くはOK!
一応、復習として。「ご飯を炊く」を見てみましょう。
「ご飯」は炊かれたものなので、「ご飯を炊く」って重ね言葉じゃないの?と、一見なりますが、「ご飯」が目的になるのでOKです。被害を受けたと同じですね。
よく使用してしまう重ね言葉
よくある「重ね言葉」を見て使わないように気をつけましょう!
重ね言葉の駄目な例 | 改善例 |
被害を被る | 被害にあう |
頭痛が痛い | 頭が痛い |
受注を受ける | 受注する |
犯罪を犯す | 罪を犯す |
いまだに未解決 | 未解決 |
後で後悔する | 後で悔やむ・後悔する |
連日暑い日が続く | 暑い日が続く |
そこの左折を左に曲がって | そこを左折して |
馬から落馬する | 馬から落ちる |
「そこの左折を左に曲がって」なんて、コントにも出てきそうですが、普通に使ってしまっているかも知れないですね。
できるだけ話す言葉から重ね言葉に気をつけていきたいものです!